取引先や上司からメールが届いたとき、「どのように返信すればよいか分からない」「失礼のない敬語になっているか不安」と悩むことはないでしょうか。
伝える内容は決まっていても、書き出しや言葉遣いを考えているうちに、返信が後回しになることもあります。
ChatGPTを使えば、受信メールの内容と自分が伝えたい要点から、返信文の下書きを作れます。ただし、受信メールをそのまま貼り付けると、氏名、会社名、メールアドレス、契約情報などを入力してしまう可能性があります。
この記事では、受信内容を安全に置き換える方法、メール返信用のコピペプロンプト、目的別の追加指示、送信前に確認する項目を初心者向けに解説します。
この記事の結論
受信内容を匿名化し、返信の目的・伝える事実・未確定事項を指定すると、ChatGPTでメール返信の下書きを作れます。出力内容は元のメールと照合し、必ず人が確認してから送信しましょう。
ChatGPTでメール返信を作るときにできること
ChatGPTは、メール返信で次のような作業を支援できます。
- 受信内容の要点を整理する
- 返信に必要な項目を洗い出す
- 件名と本文の下書きを作る
- 社内向け、社外向けで文体を変える
- 長い文章を簡潔にする
- 堅すぎる表現を自然な敬語に直す
- 了承、質問、断りなど、目的に合わせて構成を変える
一方で、ChatGPTは相手との過去の経緯、社内の正式な判断、最新の契約条件まで自動的に把握しているわけではありません。
実務では、ChatGPTを返信の下書きを作る補助役として使い、最終的な内容と送信操作は人が担当します。
受信メールを貼り付ける前に情報を匿名化する
受信メールには、仕事上の重要な情報が含まれていることがあります。会社の生成AI利用ルールを確認したうえで、入力が認められている場合でも、必要のない個人情報や機密情報は削除または置き換えます。
置き換えを検討する情報は次のとおりです。
- 会社名、部署名、個人名
- メールアドレス、電話番号、住所
- 顧客番号、社員番号、注文番号
- 未公開の製品名、開発名、プロジェクト名
- 契約金額、見積金額、口座情報
- 社外秘資料の内容
- 限定公開のURL、ID、パスワード
たとえば、次のように置き換えます。
置き換え前:株式会社〇〇の山田です。製品AB-123を100台、9月10日までに納品できますか。
置き換え後:取引先Aの担当者です。製品Xを指定数量、指定期限までに納品できますか。
日付や数量が返信作成に必要な場合は、「期限A」「数量B」のように置き換えるか、会社のルールで入力が認められている範囲だけを使用します。
匿名化した後でも、元のメールは削除せず手元に残し、完成した返信文と照合できるようにします。
返信前に整理する5つの情報
ChatGPTに受信メールだけを渡すと、どのような立場で何を返信したいのかが分からず、意図と違う文章になることがあります。
プロンプトを入力する前に、次の5項目を整理します。
1. 相手との関係
取引先、顧客、上司、同僚など、誰への返信なのかを指定します。
2. 返信の目的
了承、質問、確認、日程調整、断り、お詫びなど、今回の返信で何を伝えたいかを明確にします。
3. 必ず伝える事実
対応状況、日付、回答期限、次の連絡予定など、返信に必要な情報を箇条書きにします。
4. 確定していないこと
社内確認中の納期、未承認の金額、回答できない質問などを明記します。確定していない内容を、ChatGPTが推測して補わないようにします。
5. 希望する文体と長さ
「社外向けに丁寧」「上司向けに簡潔」「200字程度」など、読み手と用途に合った条件を指定します。
ChatGPTでメール返信を作る基本手順
メール返信は、次の7ステップで進めます。
- 会社の生成AI利用ルールを確認する
- 受信メールから個人情報や機密情報を削除・置換する
- 返信の目的と必ず伝える事実を箇条書きにする
- 受信内容と返信条件をプロンプトへ入力する
- 出力された文章を元のメールと照合する
- 伏せ字を正しい情報へ戻し、宛先や添付ファイルを確認する
- 必要に応じて上司や担当部門の確認を受けてから送信する
この記事では、ChatGPTで返信の下書きだけを作ります。作成された文章をメールソフトへ移し、内容を確認したうえで送信します。
コピペで使えるメール返信プロンプト
次のプロンプトをコピーし、角かっこ内を自分の状況に置き換えてください。
使い方
下のプロンプトをすべてコピーし、角かっこ内を自分の状況に置き換えてChatGPTへ送信してください。
#役割
あなたは、社内外のビジネスメール作成に慣れた会社員です。
#命令
以下の受信内容と返信条件をもとに、相手が要点を理解しやすく、失礼のない返信メールの下書きを作成してください。
#文脈
メール返信に慣れていない会社員が、送信前に人が確認できる下書きを必要としています。
#受信内容
[個人情報や機密情報を削除・置換した受信メールの内容]
#返信条件
・相手との関係:[取引先/顧客/上司/同僚など]
・返信の目的:[了承/質問/確認/日程調整/断り/お詫びなど]
・必ず伝える事実:[箇条書きで入力]
・確定していないこと:[なければ「なし」]
・相手にお願いしたいこと:[返信、確認、選択など]
・回答期限:[なければ「なし」]
・希望する文体:[社外向けに丁寧/簡潔/堅すぎないなど]
・希望する長さ:[例:200字程度]
#出力形式
1. 件名候補を3つ
2. 返信メール本文
3. 入力情報が不足している箇所
4. 送信前に確認すべき項目
#制約条件
・入力情報にない事実、日付、金額、約束を追加しない
・確定していない内容を推測して断定しない
・不明な箇所は[要確認]と表示する
・相手の会社名、氏名、メールアドレスを推測しない
・過剰な敬語や回りくどい表現を避ける
・返信文の下書きだけを作り、メールの送信は行わない
プロンプトの使用例
ここでは、取引先から納期について質問を受けたものの、まだ社内確認が終わっていない場面を例にします。
受信内容
取引先Aの担当者から、製品Xを期限Aまでに納品できるか確認するメールが届いた。
返信条件
- 相手との関係:継続して取引している取引先
- 返信の目的:受信したことを伝え、社内確認後に回答する
- 必ず伝える事実:現在社内で確認中。回答予定日は期限B
- 確定していないこと:期限Aまでに納品できるかどうか
- 相手にお願いしたいこと:なし
- 回答期限:期限B
- 希望する文体:社外向けに丁寧で簡潔
- 希望する長さ:200字以内
出力される文章のイメージ
件名:納期に関するお問い合わせについて
取引先A
ご担当者様
いつもお世話になっております。
製品Xの納期についてお問い合わせいただき、ありがとうございます。
現在、期限Aまでの納品可否を社内で確認しております。
確認が完了次第、期限Bまでにあらためてご連絡いたします。
お待たせして申し訳ございませんが、何卒よろしくお願いいたします。
この例では、納品できると確定していないため、ChatGPTに可否を推測させず、回答予定日だけを伝えています。
実際に使用するときは、「取引先A」「製品X」「期限A」「期限B」を正しい内容へ戻し、日付と曜日が一致しているか確認してください。
目的別に追加できる指示文
基本プロンプトの末尾に、目的に合った指示を追加できます。
了承するとき
相手の依頼内容を短く言い換えて確認したうえで、対応する内容、期限、次の連絡予定を明確にしてください。
追加で質問するとき
回答に必要な不足情報を箇条書きで示し、相手が一つずつ回答しやすい質問文にしてください。
すぐに回答できないとき
現時点で確定していることと確認中のことを分け、次に連絡できる予定日を明記してください。未確認の内容は推測しないでください。
依頼を断るとき
結論、簡潔な理由、可能であれば代替案の順で構成してください。相手や第三者を責める表現は避けてください。
相手の誤解を訂正するとき
相手を否定する書き方を避け、事実、正しい内容、今後の対応の順で簡潔に説明してください。
出力が合わないときの修正指示
最初の返信案が希望どおりでない場合は、具体的な修正点を追加で伝えます。
- 事実関係を変えずに、本文を30%短くしてください。
- 丁寧さを保ちながら、堅すぎない自然な表現にしてください。
- 結論を最初の2文以内に移動してください。
- 相手に回答してほしい項目を箇条書きにしてください。
- 日付、金額、製品名は変更せず、文章表現だけを修正してください。
- 入力情報に含まれていない内容を削除してください。
- 修正した箇所と理由を一覧で示してください。
- 件名だけを20文字程度で3案作成してください。
「もっと良くしてください」のような曖昧な依頼より、長さ、文体、残す情報、削除する情報を指定した方が修正内容を確認しやすくなります。
仕事で使うときの注意点
会社の利用ルールを優先する
会社によって、生成AIへ入力できる情報や利用できるサービスは異なります。個人の判断で受信メールを入力せず、社内規程や上司、情報システム部門の案内を確認してください。
受信メールをそのまま入力しない
署名欄にも、氏名、会社名、電話番号、メールアドレスなどが含まれています。本文だけでなく、件名、宛先、CC、署名、過去のメール履歴も確認してから匿名化します。
入力情報にない約束を追加していないか確認する
ChatGPTが作成した文章に、未承認の納期、値引き、補償、返金、対応範囲などが追加されていないか確認します。
元のメールと返信文を照合する
次の項目を照合します。
- 質問された内容に回答しているか
- 回答できない内容を断定していないか
- 氏名、会社名、部署名が正しいか
- 日付、曜日、時間、期限が正しいか
- 金額、数量、製品名、型番が正しいか
- 必要な添付ファイルを付けたか
- 不要な相手がCCやBCCに含まれていないか
重要なメールは担当者の確認を受ける
契約、価格、納期、クレーム、補償、法的な内容を含む場合は、上司や担当部門の確認を受けます。ChatGPTの出力だけで会社としての判断を確定しないようにします。
送信前チェックリスト
メールソフトの送信ボタンを押す前に、次の項目を確認してください。
- 宛先、CC、BCCは正しいか
- 相手の会社名、部署名、役職、氏名は正しいか
- 質問や依頼に回答できているか
- 日付、曜日、時間、期限は正しいか
- 金額、数量、製品名、型番は正しいか
- 確定していない内容を断定していないか
- 自分に権限のない約束をしていないか
- 必要な添付ファイルがあるか
- 不要な個人情報や社内情報が残っていないか
- 相手との関係に合った文体になっているか
まとめ
ChatGPTを使えば、受信メールの内容と返信条件から、返信文の下書きを作成できます。
ポイントは、受信メールをそのまま貼り付けず、個人情報や機密情報を削除・置換することです。そのうえで、相手との関係、返信の目的、必ず伝える事実、確定していないこと、希望する文体を指定します。
出力された返信文は、元のメールと照合し、氏名、日付、金額、製品名、約束、添付ファイルなどを人が確認してから送信してください。
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